1. HOME
  2. 最新ニュース&インタビュー
  3. ファッションから省みる絶滅危惧種の現状—動物を愛しすぎるフォーサイス有間さんが発信する人との共生社会

JOURNAL

ファッションから省みる絶滅危惧種の現状—動物を愛しすぎるフォーサイス有間さんが発信する人との共生社会

ファッションから省みる絶滅危惧種の現状—動物を愛しすぎるフォーサイス有間さんが発信する人との共生社会

水族館の飼育員として働きながら、人と動物が幸せに共生するためのハックなどを発信するフォーサイス有間さんが、絶滅危惧種をモチーフにしたスニーカーブランド「REDLISTレッドリスト)」のブランドアンバサダーに就任。絶滅危惧種を保護し、動物たちの現状を啓蒙するという両者の想いが共鳴し、今回のコラボレーションが実現。「REDLIST(レッドリスト)」の売上の一部は、環境保全のためのクリーン活動にあてられる。わたしたち人間の活動が動物たちの生活に影響を及ぼし、年々絶滅危惧種の数は増加。仕事でもオフでも動物とともに暮らすフォーサイス有間さんが目指す、人と動物が幸せに暮らせる世界のためにわたしたち一人ひとりができることを考えてみよう。

フォーサイス 有間さん /飼育員
1991年オーストラリア生まれ、広島育ち。父の影響で動物が好きになり、オーストラリアの大学では動物生態学を専攻。大学卒業後、オーストラリアの動物園に就職。現在は、大手水族館の飼育員として勤務。プライベートでもたくさんの動物を飼っており、理想的な飼育方法や環境作りについてSNSで発信をしている。また、8人兄弟の長男として、Youtubeチャンネル「大家族フォーサイス家」で大家族の仲のよさや絆を発信しており、チャンネル登録数は8万人を超える。ファッションブランドREDLIST(レッドリスト)アンバサダーとしても絶滅危惧種の野生生物に関する情報を発信している。

オーストラリアの動物園で経験を積む

― オーストラリア出身の有間さん。どのような幼少期を過ごしていましたか?

オーストラリアで生まれて、生後すぐに日本に移りました。語学を学ぶために、3学期の終わりから夏休みまではオーストラリアの学校に通い、2学期から3学期までは日本の学校に通う小学生時代。実家は日本なので、オーストラリアにいる期間はホームステイをしていました。そこから日本の中学校に通い、再び高校1年生のときに1年間オーストラリアへ留学。日本の高校を出たあとはオーストラリアの大学に進学し、動物生態学を専攻していました。

オーストラリアと日本を行き来する生活だったのですね。動物に興味を持ち始めたのはいつ頃でしたか?

周りから「虫博士」と呼ばれるくらい、生き物が大好きな子どもでした。小学生だったあるとき、お父さんがイグアナをペットショップで買って、自宅に連れて帰ってきたんです。そのイグアナを飼ってから、虫以外の生き物に興味を持つように。はじめて生き物の飼育を経験し、その経験が今の人生につながっています。広島の実家から徒歩で行ける動物園があって、何百回も連れて行ってもらったんですよ。動物を見かける機会が多かったのも、動物好きを加速させたかもしれません。

オーストラリアの大学を卒業後、動物園に就職。そのときはどのようにしてキャリアを手に入れたのでしょうか?

当時、ハネムーンでオーストラリアに行って、コアラと記念撮影をするっていうプランが日本で流行っていました。大学3年生になったばかりのとき、コアラのツアーをするバイリンガルのポジションがあったんです。住んでいる場所から2時間かかる動物園での募集でしたが、英語と日本語が話せる自分にピッタリだ、と思って応募。日本人の観光客にコアラのガイドをするポジションで採用されました。ツアー自体は1時間半で、それ以外の時間は飼育員と同じ仕事をするアルバイトで。大学を卒業後、そのままフルタイムで働くようになりました。実は、オーストラリアの動物園で働くのは、かなりの狭き門。動物が大好きで愛国心も強く、コアラやカンガルーのようなオーストラリアにしか生息しない固有種を守るために、たくさんのボランティアがいます。もちろん、動物の体調管理やショーのトレーニングなど、知識が必要な仕事もあるので飼育員の存在は必要ですが、お金を払わなくても掃除や餌やりをやってくれる人はたくさんいるので、飼育員として雇われるにはよっぽど専門性を突き詰めていないと働けません。僕の場合は他の人とは違うルートで狭き門を突破できたので、とてもラッキーだったな、と思います。

ご自身の強みを活かして動物園への就職を勝ち取った

仕事もプライベートも動物に囲まれる暮らし

― 日本で社会人経験を積むために帰国。帰国後は、どのような仕事をしていましたか?

2年半ほどオーストラリアの動物園で一通り経験し、日本で社会人になるために帰国しました。オーストラリアにいるときに募集を見て、動物園や水族館に動物を卸す企業へ入社。そこは動物園や水族館に行く前に仲介されて育てられる場所で、とくに野生動物だと飼育下で順応できない個体もいます。人から餌を受け取って、限られたスペースのなかでも生きていける個体が、動物園や水族館に送られるんです。餌を全く食べなかったり、檻にぶつかったけがを悪化させて感染症を起こしたり、飼育に向かない性格の動物は弾かれる。精神的にもかなりハードで、1年間働いたあと、今働いている水族館に転職しました。

そうして今に至るわけですね。水族館での担当を教えてください。

アシカとアザラシを担当し、パフォーマンスやショーの準備をしています。オーストラリアでバードショーをやっていたので鳥をトレーニングしたことはありますが、アシカはできる技の幅が広い。トレーニングの根本は鳥もアシカも一緒なのですが、アシカの賢さを実感しました。働きながら常に勉強もしていて、今は動物の行動を勉強しています。「なぜこういう行動をしたのか」「なぜ言うことを聞かなかったのか」という疑問に対してフィードバックをくれるようなセミナーを受けていて、仮説を立てて飼育で検証するのがとても楽しいです。

自宅にもたくさんの動物がいますよね。どのような動物を飼っていますか?

僕自身も自宅で動物を飼っています。子どものときに恐竜やゴジラが好きだったので、その影響から主に爬虫類をいっぱい飼っていますね。ただ、勉強をしていくと、爬虫類は意外と体が弱く、適した環境を提供してあげないと体調を崩したり、ちゃんと育たなかったりします。家でも動物園並みの環境にするために、自然を完全に再現してやろうと思って、箱から全部作って、中にその動物が住んでいる場所の植物を植えました。ガラスケージに水入れを入れて、隠れ家1個とペットシートを敷いて育てている光景をよく見かけますが、自然のなかでそんな環境で生きている動物っていないじゃないですか。飼うってことは命を預かっていることなので、ベストな環境をその動物に与えてほしい。ペットを飼わなくなる世界線はこれからもないと思うので、動物を飼うなら、飼っている人も動物も幸せに生活してほしい。そんな想いもあって、YoutubeInstagramで発信しています。

動物への想いが、SNSでの発信に活かされているように感じられます。Youtubeチャンネルを発足した経緯を教えてください。

実は僕、10人家族で8人兄弟の長男なんですよ。元は大家族の仲のよさや絆を発信したくて、Youtubeチャンネル「大家族フォーサイス家」をスタート。大家族をフィーチャーしたテレビの取材を受けたこともあり、登録者数も勢いよく増えていきました。はじめはそのチャンネルで動物のことも発信していたのですが、「個人チャンネルを作ってほしい」という声をたくさん受け取って。そこから「ありまる動物園」として、動物専門のチャンネルを立ち上げました。僕のような、動物のための本格的な環境作りを日本でやっている人はほとんどいなくて、動画を投稿しはじめた当初は大きな反響がありました。

現在は、大手有名水族館で飼育員として勤めながら個人としてもSNSを活用して動物の理想的な飼い方を発信している。

動物の置かれている状況を知り、身近なアクションができる人を増やす

― 今回、絶滅危惧種をモチーフにした「REDLIST(レッドリスト)」のブランドアンバサダーに就任。コラボレーションを決めた理由を教えてください。

僕自身スニーカーも好きなので、「REDLIST(レッドリスト)」から連絡をいただいたときは、強く惹かれて。絶滅危惧種をモチーフにしたかっこいいスニーカーで、さらに売上の一部が絶滅危惧種の保護や環境の保護活動に還元されるというブランドコンセプトに共感しました。日本では野生動物を保護する活動がほとんどなく、募金すら見かけない。関心のある人がまだまだ少ない現状で、この一歩を踏み出すのは、かなりのエネルギーが必要だと思います。なので、僕にもできることがあればぜひ協力したいと思い、今回のコラボレーションが実現しました。

日本では目を向けられることが少ない絶滅危惧種の野生生物。「REDLIST(レッドリスト)」に期待していることはありますか?

野生動物や絶滅危惧種の置かれている状況は、想像以上に危険な状況です。このままでいると10年後、20年後には絶滅してしまう種類の方が多い。ゴミを減らしたり、環境保全のための活動に参加してみたり、環境のことを考えられる人口が1人ずつでも増えていけば、動物に対する圧力が少しずつ弱まっていくと思います。トキに関してはレアケースで、1度絶滅しているんですよ。渡り鳥なので、日本の固有種でも、韓国や中国でも全く同じ種類が生息していたため、佐渡島に放鳥して数が増えていきました。動物の進化は人の進化に比べてかなり遅く、環境の変化に適応できない動物が絶滅していきます。なので、固定種の繁殖は難しく、繁殖をうまくしていた時代と同じ条件にしないとうまくいきません。「REDLIST(レッドリスト)」のような動物を守る啓蒙活動が増えていけば、トキの生息数もこのまま増えていくかもしれません。昔は本土に生息していたので、このまま活動が進んでいけばそんな未来もあるかもしれない、という期待をしています。

より多くの人が絶滅危惧種を知り、アクションを促すために必要なことを教えてください。

僕の中でのベストは、実際に動物を見て、感じること。「こんな動物がいるんだ」「近くで見るとこんな感じなんだ」と興味を持った動物が絶滅しかけていると、すごく悲しいですよね。じゃあこの動物を守るために、助けになることを探してみてはいかがでしょうか。動物園や水族館には「教育」「種の保存」「研究」「レクリエーション」という4つの役割があり、普段見ることができない動物を知るきっかけを作る場でもあります。僕が水族館で働きながらSNSで発信したり、「REDLIST(レッドリスト)」に協力したりして、1人でも多くの人に動物の置かれている状況を知ってもらいたい。全て人の影響なので、それを助けるのが動物を守る唯一の手段だと思います。今回REDLIST(レッドリスト)とコラボレーションすることで、ファッションという新しい切り口でたくさんの人に意識してもらうきっかけとなれば嬉しいです。

【REDLIST】
公式Instagram:https://www.instagram.com/redlist.official/
公式Twitter:https://twitter.com/RedlistOfficial
公式LINE:https://lin.ee/QFY1MpK

文:Nana Suzuki

SNSでこの記事をシェアする