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世界最高峰を目指して完成。貝印が帽子デザイナーと共同開発した縫製ハサミ「Ō(オー)」とは

世界最高峰を目指して完成。貝印が帽子デザイナーと共同開発した縫製ハサミ「Ō(オー)」とは

フランス・パリで毎年開催される欧州最大級のトレードショー「Maison&Objet」(以下、メゾン・エ・オブジェ)。世界中のデザイン・ライフスタイル・インテリアコミュニティ間でビジネスチャンスとクリエイティブな交流が生み出されている。2024年1月、本展示会に初出展を果たした貝印株式会社のマーケティング本部 広報宣伝部 平岩 暢さんに、NESTBOWL チーフブランドオフィサー・堀 弘人がインタビュー。グローバルな展開を見据えた取り組みに迫る。

貝印株式会社
1908年、刃物の町として有名な岐阜県関市で創業。現在、生活に密着した刃物を中心とするカミソリ、メンズグルーミング、ツメキリなどの身だしなみやビューティーケア、包丁をはじめとする調理・製菓、医療用など1万アイテムにもおよぶ商品を展開し、商品の企画開発から生産、販売、物流までの一連を行っているグローバル刃物メーカー。

「メゾン・エ・オブジェ」に今回初出展を果たした貝印

― 最初に、貝印というブランドについて伺えますか。

1908年に創業し、2023年度で115周年を迎えるメーカーです。最初はポケットナイフから始まり、グローバル刃物メーカーとして成長しました。現在は世界で8か国、18拠点にてグローバル展開しています。

― 「メゾン・エ・オブジェ」での貝印さんの出展は今回で何度目でしょう。

ドイツに拠点を構える弊社の海外法人である「カイ ヨーロッパ」は毎年9月に出展していますが、日本の「貝印」としては初の試みになります。

― 今回「メゾン・エ・オブジェ」に出展された背景について教えて頂けますか。

国内における主力の商品は包丁やカミソリといった一般ユーザー様向けのものが中心ですが、ヨーロッパ圏では包丁の他にも、B2B向けとなる理美容ハサミ、縫製ハサミ、医療用刃物などを専門性の高い商品も展開しています。

今後より一層グローバルに展開していくことを視野に、今回は帽子・ヘッドピースデザイナーの日爪ノブキさんとコラボレーションし、「Ō(オー)」という縫製ハサミを共同開発しました。こちらのプロダクトをグローバルにご紹介するために、この度「メゾン・エ・オブジェ」に出展する運びとなりました。

世界最高峰を目指してつくられた縫製ハサミ「Ō(オー)」

― 「Ō(オー)」はどのようなプロダクトでしょうか。

“鋏の歴史の新たなる原点”になるという意志を込め、Originの頭文字をとり「Ō(オー)」と命名。40年以上培ってきた縫製ハサミの技能と、日爪さんの知見、そして8年以上の製作期間を経て、世界最高峰の縫製ハサミを目指し完成しました。

用途・サイズの異なる6丁セットとしており、糸切りをはじめ、縫製ハサミに理美容ハサミの刃体や形状を踏襲したモデルや、刃元から刃先に掛けてピッチの異なるセレーション(ギザ刃)を採用したモデルをラインアップしている点が特長です。

― 帽子デザインを手がける日爪さんとの共同開発ですが、なぜ“帽子”というところに行きついたのでしょうか。

帽子は、ひとつの形のなかに薄地から分厚い革など多種多様な素材や形態が含まれているため、性能の良いハサミが必要とされます。「帽子をつくる」ということを突き詰めていった先に、世界最高峰の縫製ハサミが生まれると私たちは考えています。

2022年からは、“すべての人に、最高の帽子を届ける”というミッションを掲げ、日爪さんのご協力のもと帽子のコンテストも主催し、日本における新しい帽子の文化の創出、育成を目指しています。

― 日爪ノブキさんのご経歴についても伺えますか。

日爪ノブキさんは文化服装学院を卒業後、イタリアに渡ってファッションデザイナーとして研鑚を積み、のちに帽子・ヘッドピースデザイナーになられた方です。2019年には「M.O.F(フランス国家最優秀職人章)」という、極めて高度な技術をもつ職人に授与される章を受章されています。日本でいえば日本国宝にあたる非常に権威のある章です。

日爪さんとは、以前から貝印の縫製ハサミを使用して頂いていたところからご縁がつながり、プロダクトの開発がスタートしたという経緯があります。

― この展示におけるヨーロッパのお客様の反応はいかがですか。

ブースでは、実際に試し切りをされた方から、切れ味の良さにお褒めの声を頂くことも多いです。高い評価を得ているという実感があり、フィードバックを頂ける場所を持つことの意義を感じています。

「切る」ための技術・ノウハウを次世代に繋げる

― 今後どのようなビジネス展開を想定されていますか?今後のビジョンについて

貝印ほどさまざまな刃物を手掛けているメーカーは少ないと思います。この強みを活かし、グローバルカンパニーとして我々の先進的な技術を世界に発信していきたいと考えています。

また、創業115周年という節目に刷新した貝印の企業理念やミッションを拠り所に、「切る」ための技術・ノウハウをコアに、次世代に繋げていきたいと思っています。

NESTBOWLは企業間コラボレーションに特化したコラボレーションプラットフォームを提供しております。既存の枠組みを超え、新しい価値を創造するためのコラボレーションを促進する出会いのプラットフォームです。ご興味のある企業様はこちらからお問い合わせください。

取材:堀 弘人
文:ミカタ エリ

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