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【イベントレポート】サステナをブームで終わらせない。「SHIBUYA109 lab. EYEZ」 のSDGsを身近にする取り組み

【イベントレポート】サステナをブームで終わらせない。「SHIBUYA109 lab. EYEZ」 のSDGsを身近にする取り組み

2024年4月12日(金)、MNインターファッション株式会社と株式会社SHIBUYA109エンタテイメントの若者マーケティング機関「SHIBUYA109  lab.」による共同セミナー「Z世代とSDGs」が開催された。セミナー前半では、Z世代のSDGsに対する意識調査の結果をもとに、彼ら彼女らが社会課題とどう向き合っているのか、登壇者である2名がトークセッションを展開した。後半では両社による共同プロジェクトで、Z世代の中でも社会課題に関心のあるメンバーが集まった「SHIBUYA109 lab.EYEZ」(以下、「EYEZ」)の活動事例を紹介。社会課題に取り組む企業と「EYEZ」による交流が、SDGs達成に向けてどう作用するのかが語られた。

イベント登壇者プロフィール
長田 麻衣さん/株式会社SHIBUYA109エンタテイメント マーケティング部SHIBUYA109 lab. 所長(写真:左)
2017年に株式会社SHIBUYA109エンタテイメント入社。翌年8月に若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。毎月200人のaround20(15~24歳の男女)と密なコミュニケーションを図り、独自のZ世代マーケティングやネットワークを確立。 著書に 「 若者の「生の声」から創るSHIBUYA109式Z世代マーケティング(プレジデント社) 」(2023年3月刊行)。

米崎 尊路さん/MNインターファッション株式会社 企画開発部部長兼マーケティング課課長(写真:右)
アパレルメーカーにて営業や企画生産を担当した後、ブランドの立ち上げやライセンスブランドのディレクションを担当。 2015年に三井物産アイ・ファッション株式会社入社、主にオリジナル素材のマーケティングを担当。 また2019年には、3Dモデリスタ事業を中心としたデジタルクロージング株式会社を子会社として設立。 現在はサステナブルな素材を使用したDtoCブランドの運営も行う。

無意識にSDGs推進に寄与するZ世代

長田麻衣さん(以下、長田):2022年8月に実施したウェブ調査では「社会課題解決に対して興味関心があるか」という質問に対して、56.8%が「ある」と回答しているものの、「取り組んでいない・取り組む予定がない」といった回答が90.8%に上りました。

この乖離に疑問を抱き、質問を選択式にした上で同様の調査を再度行ってみると、「何らかのアクションをしたことがある」という回答が70%以上に上ったのです。具体的な行動としてはエコバッグの使用やフリーマーケットの活用などが挙がり、SDGsに寄与するアクションが無意識に日常生活へ溶け込んでいることが分かりました。それに加えてZ世代の特徴のひとつとも言える、謙遜の気持ちが初回調査の結果に影響したと推測しています。

「Z世代の大半が、SDGsに繋がるアクションを日常生活の中で自然に行っている」(長田さん)

長田:サステナブルな商品の購入経験の有無を調査してみても「無意識のうちにSDGsに寄与していた」という傾向は見られ、購入経験有と回答した5割のうち半分以上が「たまたまサステナブルな商品だった」という結果が出ています。SDGsを意識しているというよりは、やはり日常に溶け込んでいるという認識が適当でしょう。

逆に意識的に商品購入やイベントへ参加する場合の動機部分を掘り下げていくと、「価格が安いあるいはポイントがもらえる」や「無理のない値段で始められる」といった回答率が高く、企業には経済面・金銭面にも配慮したUXD(顧客体験設計)の設計が求められていることが分かります。要は自分自身にメリットがあった上で、企業あるいは環境にどのようなメリットが生じるのかを重要視している傾向が強いです。

米崎尊路さん(以下、米崎):学校でSDGsについてインプットが行われている点も、無意識に社会課題と向き合える理由のひとつになっているのかもしれません。謙遜してしまうという点においては、SNSネイティブがゆえに、比較対象として大勢の人のことを容易に目にできる環境が大きく影響しているのでしょう。

その意識を変えるような取り組みを企業が牽引していくべきで、彼ら彼女らの手に届く範囲でサステナブルなアイテムや体験を届けることが重要だと考えています。

「企業はZ世代の謙遜の気持ちを理解し、彼ら彼女らが手の取りやすいようなアイテムを提案するのが大切」(米崎さん)

「SHIBUYA109 lab. EYEZ」の合言葉 は、#〇〇レス

長田:EYEZ」の活動は今年で4年目を迎え、現在はaround20のコアメンバー12人を中心に、Z世代が社会課題を自分ゴト化し、企業と一緒にアクションを起こしていくチームとして活動しています。

米崎:企業がどのような考えのもとでSDGsに寄与する活動を行っているのか、around20に知ってもらう場があるのは一企業の立場から考えてみてもありがたいですし、「EYEZ」メンバーにとっても発見がある。企業と生活者が直にコミュニケーションをとることで、サステナブルに対する考え方の幅が広がるんですよね。

長田:活動の中では“#〇〇レス”というスタンスを大切にしています。性別や年齢などをレスすることで、立場関係なくフラットに社会課題と向き合うコミュニティを創出することが狙いです。「EYEZ」メンバーと企業の方達が歩み寄りやすい雰囲気をつくることで、社会へ大きなインパクトを与える可能性を含んだアイデアや意見が飛び交うと考えています。

「EYEZ」では、性別や年齢などにとらわれない“#〇〇レス”というスタンスでさまざまな取り組みを行っている

米崎:肌感ですが、スコープワン(自社が直接排出したCO2の量)の削減が目指せていないと社会課題解決に向けた具体的なアクションとは言えないと思い込んでいる企業やアパレルブランドって、多いと思うんです。

完璧じゃなくても今できることからアクションしているという点で、自分たちにハナマルをあげる姿勢を企業そして「EYEZ」メンバーも学べる場所としても機能すればという考えもあります。

「EYEZ」ならではのアウトプットで、サステナをより身近に

長田:これまでの話を踏まえて、「EYEZ」では具体的にどのようなことに取り組んできたのか。大きく3つに分けてお話しすると、まず1つ目が「若者との共創ワークショップ・イベント」。中でも、「EYEZ」メンバーが主体となりさまざまなテーマのもと企業を迎え、「EYEZ」メンバーやメンバー以外のaround20と社会課題に関してワークやディスカッションするイベント「EYEZ ROOM」を実施しています。

参加学生にとっては「企業がどのような思いでSDGs達成に向けた取り組みを行っているのか」をインプットする機会となり、企業はZ世代の率直なフィードバックを受けられると好評をいただいております。

米崎:2つ目の商品企画についてはMNインターファッションとの取り組みで、2023年はバナナの繊維から作られた「バナナクロス」を用いてソックスを開発・展開しました。2022年にも同様の素材を使用してバッグを開発・展開したのですが、3,960円という手に取りやすいとは言えない価格での販売になったしまったため、昨年は1,000円台のアイテムという価格ありきでソックスの商品開発に至ったという経緯があります。

「EYEZ」とMNインターファッションは、バナナの繊維でできた素材を使ったソックスを共同開発

工数と価格の最適解を模索しながらビジュアル撮影やポップアップストアでの販売や接客、何よりお客様からのフィードバックを得るというフェイズまで「EYEZ」のメンバーが主体となって実践できたのが良かったですし、「可愛いと思ったらサステナだった」を体現するための一歩を踏み出せたような気がしました。

長田:そして3つ目となるデジタルコンテンツの制作は、2023年から強化して取り組んでいます。TikTokでの活動においては「可愛いと思ったらサステナだった」というアイテムを自らの手で楽しく生み出せるリメイク術をはじめ、サステナブルに関するイベントやスポットのレポートなども発信しています。Z世代ならではの視点で同世代に刺さるクリエイティブを生み出せるという点も、「EYEZ」の強みだと感じています。

「EYEZ」メンバーの実際の声、そして今後の目標

まいかさん(EYEZ4期生):長田さんが挙げられた事例の中でも、特にデジタルコンテンツの制作にやりがいを感じました。自身が作ったスニーカーデコ動画(TikTokにて約6万再生)への反響をはじめ、発信したものに対してリアクションがあることも楽しく続けられた理由の一つかなと思っています。

また、「EYEZ」のメンバーも良い意味でSDGsへの知識や関心の深さにばらつきがあるため、アカデミックな話し合いに傾倒し過ぎず、活動以外の場でも自分の思いを素直に伝えられるようになりました。

ゆうかさん(EYEZ3期&4期生):海外で生活をしていた時には同世代でSDGsについて話す機会が日常的にあったのですが、日本ではそういった場が無かったので、「EYEZ」での活動はとても貴重でした。「EYEZ ROOM」に参加することで、各企業の取り組みについて等身大の目線で考える癖が身についたように感じています。

まいみさん(EYEZ3期&4期生):私たちが気になったテーマのもと、ヴィーガングルメやコスメを実際に体験できる環境は、価値観の変化に大きく繋がったように思えます。

例えば「ヴィーガン」という言葉から連想する物足りなさのようなものに対して、「こんなに美味しいんだ」「カラバリも豊富で発色も良くて、普段も使える」など、このコミュニティに身を置いたからこそ変わった価値観が多々あります。企業の方たちが私たちに素直な意見を求めてくれるというのも嬉しかったです。

「EYEZ」メンバーも登壇し、企業との取り組みで感じたことや変化した価値観について語った

長田:2024年は「SHIBUYA109」と親和性の高いファッション・コスメ領域だけでなく、食や介護、気候変動などさまざまなテーマを設け、各業界の企業とパートナーシップを築いていきたいです。「EYEZ」メンバーだけでなく企業の方々にとっても、イベントを通して得られたインプットが、仕事の仕方や一生活者としての生き方に良い作用をもたらす取り組みだと感じているので、そういった積み重ねを「EYEZ」で生み出していけたら嬉しいです。

米崎:また今年の取組みとして、今年3月に「SHIBUYA109渋谷店」にオープンしたアパレル向けのポップアップスペースを活用して、各企業やブランドが展開するサステナブルなアイテムのテストマーケティングを実施するイベントを秋に実施予定でございます。取り組みの大小関係なくサステナブルに貢献したアイテムが並ぶ場として機能していけばと思っています。サステナブルをブームで終わらせてしまうのはもったいないので、ぜひ活用していただければ嬉しいです。

若者とのSDGs共創PJ「SHIBUYA109 lab.EYEZ」では、一緒に取り組むパートナー企業を募集しています!Z世代の学生達とコラボレーションして、自社のSDGsに関する課題を解決しませんか?ご興味をお持ちの企業様はこちらからお気軽にご応募ください!

文:芳賀たかし
撮影:加藤千雅

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SHIBUYA109 lab.

SHIBUYA109 lab.

「新しい世代」と向き合う、around20(15~24歳)のZ世代に特化したマーケティング機関
企業のマーケティング活動における課題を解決し若者と企業・社会を繋ぐ架け橋となります。