【連載Vol.4】プロがわかりやすく解説!採用ブランディングの進め方 <採用ブランドコンセプトを決める>
ここ数年、HR・採用市場で浸透しつつある採用ブランディングや採用マーケティング。企業の採用活動における手法・施策だが、その解釈や定義の捉え方は企業や個人によって微妙に異なり、理想的なカタチで実施できている企業はまだそれほど多くはない。
そこでこの連載では、「これから採用ブランディングや採用マーケティングを実践したい」「成功させるためのヒントを得たい」と考えるブランド企業のHR・採用ご担当者に向けてNESTBOWLの採用プロデューサーである山根康介さんがわかりやすく解説。第4回目となる今回は、「採用ブランドコンセプトのつくり方」についてご紹介する。
(過去記事はこちら→Vol.1、Vol.2、Vol.3)
前回までのポイント
①採用ブランディングとは「働く場所としての自社」を求職者に印象づけるもの
②採用状況を見直し、採用活動の課題点を知る
③採用候補者の心理変容の現状を把握し、理想を描く
④採用活動の成果を、採用ポートフォリオ・採用CPAで客観的に見る
⑤採用活動では、採用ブランディング施策以外の外的要因・内的要因も大きく影響する
採用ブランディングは求職者に自社を魅力的に感じてもらい、また入社後のイメージを正しく持ってもらうためにはとても効果的な施策です。NESTBOWLでは「働く先としての印象づくり」と位置づけています。実践の際は、企業内のさまざまなブランディングと紐づきながら行われることが前提です。
採用ブランドコンセプトを考える
採用ブランディングを進める上で欠かせないのが、採用ブランドコンセプトです。
あらゆる採用活動において指針となるもので、採用ブランディング施策は採用ブランドコンセプトに基づいて行われるのが理想です。
採用ブランドコンセプトやキャッチコピーに基づいて採用ブランディング施策を行うと、採用活動に一貫性が出てブレが生じにくくなります。また、自社にとって理想的な候補者を集めやすくなるほか、ミスマッチによる離職率を減らすことにも繋がります。
事例として、他社の採用ブランドキャッチコピーを挙げましょう。
「挑戦者よ、世界を揺らせ」(三井住友銀行)
「どうなるかじゃない、どうするかだ」(本田技研)
「変化の中心で働く」(アクセンチュア)
「らしく生きる人、SOMPOケア」(SOMPOケア)
採用ブランドキャッチコピーを見ただけでも、その会社がどんな候補者を求めているか、またどのような価値観を重んじているのかがなんとなく伝わってくると思います。
採用ブランドコンセプトのつくり方
ではさっそく、採用ブランドコンセプトのつくり方についてご紹介します。
STEP1.社内でヒアリングを行う
活躍人材と上位層社員(想定は社歴10年以上)に対して、それぞれヒアリングインタビューを行います。例えば、下記のような質問事項で聞いてみるとよいでしょう。
STEP2.自社が大切にしている価値観や魅力の抽出
STEP1でのインタビュー結果と既存の企業ブランディングのコンセプトを踏まえることで、その部署・職種が大切にしている価値観、顧客や社員に対する想いの傾向をキャッチアップすることができます。それが、根づかせたい採用ブランドのイメージやコンセプトの根源となります。
また、採用担当者が得た経験を活かすことも有効です。面接で自社について候補者に話した際に、候補者のリアクションが良かった話・言葉を思い出し、まとめておきましょう。
STEP3.キャッチコピーにする
STEP2で抽出した内容をもとに、短い言葉や一文にまとめます。その際は、下記の条件を満たしているのが理想的です。
・自社(職場)が大切にしている価値観や魅力が伝わる
・求職者に響く言葉や表現である
・一文あるいは2~3ワードで簡潔にまとめられている
大切なのは「求職者に伝わる言葉や一文になっているかどうか」です。あくまで相手へ届けるためのメッセージですので、相手に伝わる言葉でなければ意味がありません。自社が採用したいと思うような人材の視点で、彼らがよく知っている言葉、よく使う言葉、響くであろう言葉でまとめましょう。
キャッチコピーはプロに任せるのが得策
キャッチコピーを考える、と言ってもそう簡単な話ではありませんよね。社内にキャッチコピーを考案できる人材・部署を持つ企業もなかにはあるでしょうが、大半の会社ではなかなか難しい作業だと思います。
そこでご提案したいのが、外部のコピーライターやNESTBOWLのような採用ブランディング支援企業の活用です。自社のブランドコンセプトに繋がる情報集めや既存のコンテンツの確認、社内の協力体制などを準備する必要がありますが、プロが客観的な視点に立ち、的確なキャッチコピーを制作してくれます。
もしコピーライターや採用ブランディング支援企業の活用が難しい場合は、ぜひSTEP2の工程までは進めておきましょう。きれいに言語化されていなくても、自社が大切にしている価値観や魅力を抽出し、再確認しておくと、採用活動で迷った時に立ち戻ることができますし、求める人材像や採用活動の方針もブレにくくなります。
一案として、STEP2・3の補助的な役割として生成AIを活用するのもおすすめです。例えば、インタビューの結果などから重要な要素をピックアップする作業や、重要なキーワードからコンセプト案を考える作業に活用できることでしょう。Perplexityを活用すれば3C分析、Claude3.0やChatGPT-4oを活用すればキーワード抽出やアイデア出しも可能です。
次回Vol.5では、「採用マーケティング戦略への落とし込み」について解説します!
解説:山根 康介さん/採用マーケティングコーディネーター・キャリアコンサルタント・広報アドバイザー
1986年生まれ、兵庫県洲本市出身。新卒で株式会社アルビオンへ入社し、5年間勤めた後に2014年にa-works株式会社へ転職。WEBマーケティング部門のリーダーやマネージャーを経験し、人事部門を立ち上げ、約5年間責任者を務める。2018年に独立し、現在は主に法人向けの採用支援を行っている。NESTBOWLでは採用プロデューサーとしてさまざまなブランド企業の採用支援に携わっている。
特典:NESTBOWLでは、ブランドを運営している企業様向けに、採用ブランディングに関するコンサルティングサービスを行っております。採用ブランディングを実施したいが何からはじめて良いのかわからない、今後採用ブランディングを強化していきたいなど、ご興味ある企業様向けに採用ブランディングに関する無料分析相談を先着3社にご提供します。ご希望される場合は、こちらまでお問い合わせください。