【連載Vol.5】プロがわかりやすく解説!採用ブランディングの進め方 <採用マーケティング戦略への落とし込み> NEW
ここ数年、HR・採用市場で浸透しつつある採用ブランディングや採用マーケティング。企業の採用活動における手法・施策だが、その解釈や定義の捉え方は企業や個人によって微妙に異なり、理想的なカタチで実施できている企業はまだそれほど多くはない。
そこで本連載では「これから採用ブランディングや採用マーケティングを実践したい」「成功させるためのヒントを得たい」と考えるブランド企業のHR・採用ご担当者に向けてNESTBOWLの採用プロデューサーである山根康介さんがわかりやすく解説。第5回目となる今回は、「採用マーケティング戦略への落とし込み」についてご紹介する。
(過去記事はこちら→Vol.1、Vol.2、Vol.3、Vol.4)
前回までのポイント
①採用ブランディングとは「働く場所としての自社」を求職者に印象づけるもの
②採用状況を見直し、採用活動の課題点を知る
③採用候補者の心理変容の現状を把握し、理想を描く
④採用活動の成果を、採用ポートフォリオ・採用CPAで客観的に見る
⑤採用活動では、採用ブランディング施策以外の外的要因・内的要因も大きく影響する
⑥あらゆる採用活動において指針となるのが、採用ブランドコンセプトである
⑦採用ブランディング施策は、採用ブランドコンセプトに基づいて行う
採用活動で起こりがちなエラーをチェックし、改善する
業種や企業の規模などによって、採用マーケティングの具体的な施策は大きく異なります。しかし、そのベースに採用ブランディングの考え方が必要であることは、どの企業においても共通です。
採用ブランディングの観点から見ると、求職者とのコミュニケーション全てに統一感がある必要があります。
一方で、採用活動の観点から見ると、求職者とのコミュニケーション毎に個々人に応じたアレンジが必要となってきます。採用ブランディングと採用活動に乖離が起きがちのため、定期的にそれらを俯瞰してチェックしていく事を推奨しています。
【採用マーケティング チェックリスト】
▼認知
・募集記事に誤字や脱字がないか
・イベント運営の際、運営スタッフの応対が望ましいものになっているか
・SNSやYouTubeでの発信において、その内容(社内の雰囲気、登場人物のキャラクター、言葉使い、口調など)の中で自社らしくないものは無いか(採用ブランドのイメージとズレるものは無いか)
・SNSやYouTubeのコメント欄に自社のネガティブコメントが載ったままになっていないか
▼興味関心
・Webメディアに古い記事が残っていないか
・記事ごとでメッセージがブレていないか
・望ましくないメディアに掲載されていないか
・自社ブログ等のコンテンツ更新頻度が月1回以上をキープできているか
・採用関連動画の尺が不要に長過ぎないか
(参考:短尺動画の場合は30秒〜2分、通常動画の場合は5分〜10分が目安。動画タイトルで掲げた問いへの答えにあたる情報までの時間が30秒以内かなど)
▼比較検討
・採用サイト内にリンクエラーはないか
・求人情報に間違いはないか
・注力している採用職種のインタビュー記事を載せているか
・画像や動画の品質が低くないか
・口コミサイト(OpenWorkなど)に載っている情報を把握しているか
▼選考・入社
・(人事チーム以外の)選考官が求職者情報をきちんと把握してから面接に臨んでいるか
・選考官が自分のやり方になっていないか(予期せぬ属人化が起きていないか)
・選考官が不要な圧迫面接を行っていないか
・選考フローが不要に長くなっていないか(応募〜内定出しまで1ヶ月以内かどうか)
「約束」+「証明」で、職場のブランドイメージをつくる
マーケティングに関する著作で知られるセス・ゴーディンは、ブランディングについてこう提唱しています。
「ブランドは約束であり、実績がその信頼を支える」
例えば、ルイ・ヴィトンが世界中で信頼されているのは、ブランドが自社のプロダクトのクオリティに自信を持っており、かつ実際に素晴らしいプロダクトを提供しているからでしょう。ブランドは「約束」と「証明」の2軸で成り立っているのです。
採用ブランディングでも、会社のオフィシャルな情報に対し、従業員のリアルなストーリーを通して証明する必要があるのです。
カスタマージャーニーに沿った施策とコンテンツ展開
次に、マーケティングについてです。
アメリカのマーケティングの父、フィリップ・コトラーは「マーケティングは、消費者の行動変容である」と説いています。
採用マーケティングでいえば、「求職者の行動変容を起こす」です。その際は、このようにカスタマージャーニーに沿った施策とコンテンツの展開が必要です。
施策を実施する上での役割としては
・ブランディングはコンテンツの中身や読後感
・マーケティングは施策やジャーニーの設計
であると考えて良いでしょう。
施策に流行り廃りがあり、他社と被ることも多いかとは思いますが、大事なものはコンテンツ。
「何を誰にどう語り、どんな読後感や心理変容を起こさせるのか」
ここに「自社らしさ」が宿りますし、自社の独自性を最も表現出来る要素となります。
まとめ
ここまで採用ブランディングの観点から採用マーケティング戦略への落とし込みにおける考え方について述べてきました。
すべき事をまとめると、大きく3つあります。
1.定期的に起きてしまうエラーをチェックし、軌道修正する
2.実際に展開している施策や施策内コンテンツの読後感が求職者に与えたい自社の印象と一致するように調整する
3.採用のカスタマージャーニー上で手薄になっていたり強化すべきポイントがあればコンテンツ×施策を検討し、緊急性・重要性が高いものから展開する
特に1が抜けてしまうと2や3の効果が薄まってしまうので、基本的には1から順に進めていく意識を持っていただくとより効果的な採用ブランディングであったり採用活動を展開していけるかと考えられます。
次回Vol.6では、「SNSの活用について」を解説します!
解説:山根 康介さん/採用マーケティングコーディネーター・キャリアコンサルタント・広報アドバイザー
1986年生まれ、兵庫県洲本市出身。新卒で株式会社アルビオンへ入社し、5年間勤めた後に2014年にa-works株式会社へ転職。WEBマーケティング部門のリーダーやマネージャーを経験し、人事部門を立ち上げ、約5年間責任者を務める。2018年に独立し、現在は主に法人向けの採用支援を行っている。NESTBOWLでは採用プロデューサーとしてさまざまなブランド企業の採用支援に携わっている。
NESTBOWLでは、ブランドを運営している企業様向けに、採用ブランディングに関するコンサルティングサービスを行っております。採用ブランディングを実施したいが何からはじめて良いのかわからない、今後採用ブランディングを強化していきたいなど、ご興味ある企業様はこちらまでお問い合わせください。