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LVMHの企業価値が高い理由とは? 世界最大コングロマリットが実現するダイバーシティ&インクルージョン【前編】

LVMHの企業価値が高い理由とは? 世界最大コングロマリットが実現するダイバーシティ&インクルージョン【前編】

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」をはじめ、「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE」」「ブルガリ(BVLGARI)」など、数多くのラグジュアリーブランドを擁するファッション業界大手企業「LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)」。今年2月にはヨーロッパで最も企業価値の高い企業と評されるなど、世界中の企業がLVMHのさまざまな取り組みをモデルにしているといっても過言ではない。近年、日本でもよく耳にするようになったダイバーシティに向けた活動もLVMHは10年以上前から取り組んできており、世界のなかでもダイバーシティの水準が低い日本においてLVMHは常に新しいチャレンジを続けている。

今回は、LVMHジャパンのタレント・アクイジションディレクターとして、企業価値を高める取り組みや情報発信、エグゼクティブ層の採用活動などを行う高瀬なおみさんと、エーバルーンコンサルティングのコンサルタント北川加奈さんが対談。公私ともに交流のある二人が、LVMHの取り組みや昨今の採用動向について語ってくれた。

高瀬 なおみさん(写真右)
大学卒業までをニュージーランドで過ごす。卒業後、日本で外資系ヘッドハンティング会社、外資ラグジュアリーブランドでの勤務を経て、2017年にLVMHジャパンへ入社。エージェンシーと企業双方の採用活動に従事してきた経験を活かし、LVMHジャパンのタレント・アクイジションディレクターとしてエグゼクティブ層のポジション採用実務を行う。また、グループとしての取り組みなど、会社に興味を持ってもらうための情報発信も積極的に行っている。

北川 加奈さん(写真左)
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元の静岡にて塾講師として勤務。2008年にウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社のため上京。2017年にAllegis Group Japanに入社、ASTON CARTER プリンシパルコンサルタントとして勤務。2021年1月にエーバルーンコンサルティング入社。

―「タレント・アクイジション」の仕事内容とは?

北川 本日はよろしくお願いします。まず、高瀬さんが担当されているタレント・アクイジションディレクターの仕事内容について教えてください。通常の採用活動=リクルーティングとはどのような違いがありますか?

高瀬 タレント・アクイジションという言葉自体、聞き慣れないという方は多いと思います。リクルーティングとの大きな違いは、会社のイメージや評判(=reputation)を高める仕事であるということ。LVMHがどんな会社で、ここで働いたらどのようなキャリアを築けるか、どのような環境で働くことができるのかを社会人になる方々に知っていただく機会をつくるのが“タレント・アクイジション”です。そして、既にそれを知っている方々を採用するのがリクルーティング。タレント・アクイジションはリクルーティングの一歩手前の仕事です。

北川 私はリクルーティングの業界に入って今年で14年目になりますが、当時タレント・アクイジションという言葉はなかったですね。

高瀬 タレント・アクイジションの活動がないと採用はスムーズにいきません。エージェントの方の立場でも、紹介する会社のことを知れば知るほど自信をもって紹介できます。このタレント・アクイジションがしっかりできていないと、候補者の方は「本当にこの会社でいいのか?」という不安や疑問を抱えたまま、応募してしまいます。そういった不安や疑問を解消することで、「こういう会社で、こんなことができるなら応募してみたいなど、キャリアのプランニングができるのです。

北川 エージェント側も、案件があったら候補者の不安や疑問よりも先に、まず条件に当てはまるかどうかで話を進めていくことって多いと思うんですよね。そのような提案ではコミュニケーションが一方通行になって、マッチングしづらい傾向にあると思います。

高瀬 採用活動は今も昔も変わらず、企業側がつくった求人票にご応募いただくという流れですが、今はその求人票の内容だけでキャリアを選べる時代ではないと思います。求人票に書いてある内容に加え、例えばその会社がダイバーシティをどう考えているのか、環境に対してどう取り組んでいるのか、女性活躍に向けてどのような取り組みをしているのかなどが大切です。記載された条件だけを見て選ぶという候補者の方はかなり少ないのではないでしょうか。

北川 年々求人票の内容だけで自分のキャリアを選ぶ方が少なくなってきています。だからこそ、私たちエージェント側としても、求人情報に対してその会社がこんな活動をしている、だからあなたにマッチすると思う、などといったプラスアルファの情報を提供することで、より会社に対する理解を深められると感じています。あと最近は、応募からすぐに面接というフローより、「まずはカジュアルミーティングで」とおっしゃっていただくことが増えています。かしこまった面接の場というよりも、まず初めにお互いを知るプロセスをとることは候補者側と企業側、どちらにとってもメリットだと感じます。

高瀬 以前は、企業側が候補者に対して「弊社で何をしてほしい、このスキルが欲しい」といったウィッシュリストのような項目を求人票に書いていましたが、候補者にとってそれよりも重要なのが、会社のイメージや評判や企業として世の中のために何をしているかなどです。今は選ぶための情報がとても多いので、昔よりも自分のキャリアを選びやすくなっていると思います。反対に情報がありすぎて選べないということもあるかもしれませんが、取捨選択するためにも少ないよりはあったほうがいいと思います。

―LVMHが推進するダイバーシティ&インクルージョンについて

北川 今、LVMHグループが推進しているダイバーシティ&インクルージョンを知ってもらうことも高瀬さん(タレント・アクイジションディレクター)のお仕事ですが、なぜ今ダイバーシティ&インクルージョンが会社にとって必要なのでしょうか?

高瀬 ダイバーシティもサステイナビリティも、最近になってホットなキーワードとして取り上げられていますが、実はダイバーシティ&インクルージョンというのはかなり前からあって、ネーミングがなかっただけであまり知られていなかったのです。LVMHでは昔から女性が多く働いていましたので、LVMHとメゾンのあらゆるレベルやポジションで多様性を育むことを目標に、2007年から「EllesVMH(Ellesはフランス語で私たちの意)」というプログラムをスタートし、当時23%であった経営層の女性比率を2020年までに50%までに持っていくという指標を掲げました。

北川 今から10年以上も前に! いち早く掲げられたのですね。

高瀬 でも、実際にはそれくらい時間のかかることなのです。女性のリーダーをたくさん雇用すればいいのでは?と考える人もいるかもしれませんが、実現するのは本当に簡単なことではありません。さまざまなプランを立てて、毎年フォーカスポイントを当ててきた結果、2017年に40%を超えましたが、2020年に50%まで持っていくことはできませんでした、毎年比率を上げてはいても。もともと女性比率が高いLVMHでも、そこまで持っていくのに10年以上かかったということは、簡単に増やそうといって増やせるものではないということです。50%という数字はグローバルで見てもとても高いですが、諦めず実現出来るように引き続きがんばっています。

―ダイバーシティ&インクルージョンを代表する、ユニークな自社プログラム

北川 ダイバーシティ&インクルージョンに10年以上も前から力を入れているからこその結果ですね。もう1つ、ユニークなプログラム「ME LVMH JAPAN クライアント・アドバイザー・プログラム」も、ダイバーシティ&インクルージョンの代表的な活動です。

高瀬 「ME(Métiers d’Excellence) LVMH JAPAN クライアント・アドバイザー・プログラム」は、もともとパリで2014年に創設され、女性の社会復帰を支援することを目的に今年アジアで初の開催国として日本が選ばれました。このプログラムはさまざまな理由で自分のキャリアを放棄しなければならなかったために、早急に新たなスキルを習得し復職したいと願う女性たちを優先的にターゲットとしました。

北川 日本では結婚や出産を機に離職する女性が多く、なかなかフルタイムの仕事に戻ることが難しいと言われています。実際にどのような選考をしたのでしょうか?

高瀬 日本では初めての取り組みだったので、どのくらいの方から応募いただけるのか分かりませんでした。アジア初の開催国ということで、まず募集に向けて何を行うかが大事だと考え、目的や意義を伝えるためのインフォメーション用のビデオをつくりました。その内容に興味をもっていただいた方々に向けて4回のオンライン説明会を行い、このプログラムが何をもたらすものなのかの説明を重ね、きちんと理解をした上で応募いただきました。最終的に12名の方がプログラムのメンバーとして、実際に週3回学校で学び、週2回は各メゾンのOJTとしてブティックで勤務しています。

北川 女性が社会復帰することが特に難しいと言われている日本で、学校に行くことができ、仕事もできるという機会はなかなかないですよね。この12名の方々にとっては素晴らしいチャンスですね。

高瀬 多数の方たちがこのような新しいプロジェクトに対し、勇気を出して手をあげてくれたことに深く感謝しています。最終的には12名になりましたが、今回応募してくださった皆さんがとても素晴らしい方ばかりでした。日本でこのようなプロジェクトに対して、素晴らしいレベルの方々が集まることを知り、日本には非常にポテンシャルのある女性が多いのだと強く感じました。

北川 復帰したいと考えている女性は多いけれど、どうすればいいのかわからない方も多いのですよね。また、復帰しようにもチャンスに恵まれない方が多いと思います。

高瀬 やはり、手を上げて応募してみるという勇気も大切です。今回の参加者のおかげで、次の方たちにはロールモデルができますから、ここから多くの女性たちにつながっていくのだと思うと、彼女たちの勇気は本当に素晴らしいです。

後編に続く>>

ダイバーシティ&インクルージョンをテーマに、LVMHの企業価値を高める取り組みや採用動向についてのお考えをお聞きすることができた。
後編では、LVMHの学生支援に対する取り組みを伺い、NETSBOWL編集部に寄せられた、学生からの質問に2人が回答してくれた。ぜひ将来のキャリアを考える学生に読んでもらいたい。

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